今回は、持分会社の一つ、合同会社を見ていきます。
新会社法によって設けられた日本版*LLCとも呼ばれる会社形態で、皆さんも聞いたことがあると思われる有限会社の代わりに設けられました。
株式会社へ組織変更可能で、近年外資系を中心に広がっている形態です。
近年増えている理由は格安で会社を立ち上げたい人が多いからと推測されています。
*LLCというのは,英語の「Limited Liability Company」の頭文字を取ったもので、アメリカで設立される会社形態のひとつです。
Limitedは日本語で「有限」、Liabilityは「責任」、Companyは「会社」の意味で、直訳すると「有限責任会社」となります。
LLCは日本の株式会社などと同じく、出資者の責任を出資額の範囲に限定しているのが特徴ですが、所有と経営が分離されている株式会社とは違い、出資者と社員が同一という特徴があります。
では、どういった特徴があるのか見ていきたいと思います。
特徴
・株式会社に比べて安く起業できる流行り(2021年現在)の形態。
・出資者は社員と呼ばれる。
・経営するには3種類の社員のうち1つ以上にならなければならない。
・代表社員、業務執行社員、社員に分かれている。
・出資者は1人以上何人でもなることができる。
・ほかの持分会社は無限責任だが、合同会社だけ間接有限責任制。
・最高意思決定機関は社員総会。
・登記上資本金0円の会社にもできる。
社員について
合同会社で特徴的な社員とは?
・代表社員
株式会社でいう代表取締役で、会社の社長の立ち位置に当たります。
名乗る際は代表取締役と名乗ると株式会社と勘違いさせる可能性があるので気を付けましょう。
近年は CEO(最高経営責任者) が主流です。
・業務執行社員
取締役の立ち位置で、出資を行いつつ会社の経営にも携わる社員のこと。
2名以上の社員がいる場合、業務執行権を持つ社員として承認できて
以下の責任、義務が生まれます。
善菅注意義務、忠実義務、報告義務
→会社、従業員に問題があった場合責任を負う。
競業禁止義務
→文字通り同種の営業禁止。
利益相反取引の禁止
→定款に記載されていない利益相反取引の禁止。
損害賠償の責任
→自分が原因で損害が生じた場合の賠償責任。
なぜ社員に種類があるのかというと・・・
株式会社と違って所有と経営が分離していないので、出資者全員が社員(株式会社でいう株主)となり決定権を持つことになります。
すべての社員が決定権を持っているとまとまりがつかなくなてしまいます。
ですのでトラブルを回避するために代表社員、業務執行社員を定めて権限を持たせますので、しっかり定款に記しましょう。
社員が一人の場合は代表社員、常務執行社員を兼任します。
★まとめ
メリット
・設立時の費用が安い(約6万)
・会社設立までの期間が短い
・決算公開義務なし
・代表社員の任期がない
・株主総会がなく社員同士の協議により重要事項を決められる
デメリット
・信頼度が低い(認知度が低い)
・上場できない(将来会社を大きく、有名に、は不向き)
・社内対立が起きる場合がある
出資金、配当は定款によって定められ、決して比例しないためトラブルが起こりやすい。
意見の食い違いが起こると重要事項を決める際に社員全員の合意が必要なため、経営が立ち行かなくなるケースがあります。
社員の増やしすぎにも注意しましょう。
設立方法と起業までの流れは次の持分会社の記事にてまとめたいと思います。
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